知らないと危ない!  猫の室内事故ランキング【獣医師がやさしく解説】

知らないと危ない! 猫の室内事故ランキング【獣医師がやさしく解説】

完全室内飼いでも、猫はキッチンのやけど・誤食、洗濯機の閉じ込め、浴槽転落、落下事故、猫同士のケンカなど多くの危険にさらされています。事故はほんの数秒で起こりますが、環境を整えることで大幅に防げます。玄関やキッチン、階段をにゃんゲートで区切るだけでも安全度は大きく向上。猫の自由を守りつつ命を守る“エリア分け”が室内飼いの新常識です。

完全室内飼いなら
安全だと思っていませんか。
実はお部屋の中にも
猫にとって危険が
たくさん潜んでいます。

私の動物病院にも
「ちょっと目を離した
すきに事故が起きた」
そんな相談が本当に多く、
完全に予防できる事故ほど
後悔が大きくなるものです。

猫は好奇心旺盛で、
高い所に登ったり、
狭い場所に入り込んだり、
音に驚いて急に走り出したりと、
予測不能な行動を
日常的に取る生き物です。

だからこそ、
「危険になる前に
物理的に区切る」
この考え方が
室内安全の基本になります。

今回は特に多い
5つの室内事故と
今日からできる
防止策をまとめました。
どれも飼い主さんの
ちょっとした工夫で
事故を大きく減らせます。

愛猫が安心して暮らせる
お部屋づくりの
ヒントにしてください。

 


事故①

キッチンでのやけど・誤食・中毒

キッチンは
室内で最も危険な場所。
猫は高い場所に
ジャンプできるため、
調理中のコンロに
前足を置いてしまい、
肉球を大きく
やけどする例が
後を絶ちません。

また玉ねぎ、にんにく、
薬品、洗剤、
落ちた調味料などは
誤食中毒の
大きな原因になります。

「調理中だけ注意」は
実は不十分で、
猫は温かさを求めて
余熱の残る
コンロへ乗ることも多く、
時間差の事故も
頻発しています。

キッチンは
物理的に立ち入り禁止にする。
これが最も確実な
安全対策です。

キッチンは猫に
とって家庭内で
最も危険が集中する場所です。

熱いフライパンや IH調理中の天板は
見た目では温度が 分からず、
肉球のやけど事故が多く 報告されています。

さらに玉ねぎやニラ、ぶどうなど
猫に有害な食材は
ほんの少量でも中毒を起こすため
人間が思う以上に危険度が高い場所なんです。

流し台に残った洗剤や油を舐めてしまう例もあり、
最も注意してほしいポイントと言えます。

物理的に立ち入りを防ぐことが事故防止
の最大の近道です。


 


 

事故②

袋やひもを誤食して窒息

レジ袋・お菓子袋・
パン袋のクリップ・
細いゴムひも。
これらは猫にとって
“命に関わる異物”です。

袋の端を噛み切って
飲み込むことで
腸閉塞になるケース、
小さなプラスチック片が
食道に詰まるケースが
実際にあります。

遊んでいるうちに
首に絡まり、
窒息しそうになった
という相談も
獣医師として
何度も受けてきました。

片付けより
最初から触れない環境を作る
方がずっと安全です。

ビニール袋や紐は
猫にとって“狩りの獲物”のように魅力的に見えるため、
じゃれているうちに誤って飲み込む事故
が非常に多い物です。

袋の欠片は消化管に詰まり、
嘔吐や腹痛を引き起こすだけで
なく場合によっては
開腹手術が必要になるケースもあり、
完全室内飼いでも決して油断できない
危険のひとつです。

特に若い猫や活発な猫では誤食行動が多く、
飼い主さんの予想を超える動きを見せます。

届く場所に置かない、
遊ばせない、
片付ける。
この3つの徹底だけでも事故は大幅に減らせます。

 


 

事故③

洗濯機への入り込み・閉じ込め

洗濯機は
事故発生率が
非常に高い危険ゾーン。
暗くて狭い場所が好きな猫は
中へ入り込み、
気づかないまま
ふたを閉めてしまう事故が
毎年のように起きています。

洗濯槽に落ちて
出られなくなり、
低体温になってしまうことも。

洗濯機は必ず
使用後も常にふたを閉める
回す前に猫がいないか確認
この2つを
徹底してください。

洗濯機は静かで狭く暗いため、
猫にとって
「最高の隠れ場所」
に見えることがあります。

しかし実際には入口が
閉まれば逃げられず、
そのまま気づかずにスイッチを入れてしまう
という大変危険な事故が
毎年報告されています。

特にドラム式は構造的に中が見えにくいため、
潜り込み事故が多数。

洗濯物の出し入れの際は必ず猫の所在確認を行い、
作業中はドアを開放したまま放置しないことが
重要です。

また、洗濯室へ立ち入れないようゲート
で仕切ることで事故の
リスクをほぼゼロにできます。

 


 

事故④

浴槽の水による転落事故

お風呂場は
猫にとって
滑りやすく危険な場所。

浴槽に落ちてしまうと
パニックになり、
体力を大きく消耗します。
高齢猫や子猫は
自力でよじ登れず、
命に関わることもあります。

ふだん興味がないように見えても、
急に探検モードに入り
浴槽をのぞき込んで
足を滑らせるケースは
非常に多いのです。

浴室のドアは
常に閉める
これが唯一の確実な対策です。

浴槽内に水が残っている状態は
猫にとって重大な危険となります。

猫は水に落ちるとパニックになり、
壁を上がれず溺れる危険性があるため、
数センチの水深でも油断できません。

また風呂場は滑りやすく、
足を取られてそのまま転落するケースもあります。

浴槽のフタを必ず閉める、
入浴後は完全に水を抜く、
浴室への立ち入りを普段から制限するなど、
家庭でできる工夫でリスクは大幅に下げられます。

好奇心が旺盛な子ほど浴室の物音に
誘われて入り込むため注意が必要です。

 


 

事故⑤

ベランダ・階段からの落下事故

高い場所が好きな猫でも、
足場の悪い手すりや
階段の角度は
危険だらけ。

落ちるつもりはなくても、
鳥を見て興奮し、
バランスを崩して
そのまま落下。

完全室内猫でも
骨折・脱臼・頭部外傷の
事故は少なくありません。

ベランダへは
原則出さない
階段は
ゲートで安全に区切る。

これが事故を
最も確実に防ぐ方法です。

猫は高い場所が得意だから落ちない、
そう思っていませんか?

実は
“足場が滑る”
“鳥に興奮する”
“着地点に物がある”など、
予期せぬ状況が重なると落下事故は簡単に起こります。

骨折や内臓損傷、頭部外傷など重篤なケースも多く、
完全に室内飼育でも油断できない事故のひとつです。
階段は人の出入りに合わせて
すり抜けようとするタイミングで転倒しやすく、
ベランダは隙間から落ちる
“すり抜け事故”が頻発します。

ゲートで区画することで
物理的に侵入不可にするのが
最も確実な予防策です。

 


 

事故⑥

猫同士の大ゲンカ

多頭飼育では
仲良しに見える猫同士でも、
ちょっとした刺激で
突然の取っ組み合いに
発展することがあります。

ケンカの最中に
家具から落下したり、
避難しようとした先で
別の事故につながることも。

テリトリーを
分けてあげることで、
不安やストレスが
ぐっと減ります。

 


 

解決策は「エリア分け」

ずっと見張れないからこそ
物理的に区切ることが
最も効果的です。

玄関・キッチン・階段など
事故の多い場所は
にゃんゲートで仕切ると
事故発生率が
驚くほど下がります。

飛び越えにくい設計、
圧迫感の少ない白いデザイン。
そして賃貸でも安心して
取り付けできる手軽さ。

「あと少しで事故だった…」
そう感じて設置した
飼い主さんほど、
口をそろえて言います。

“もっと早くつければよかった”

 


 

まとめ

完全室内飼いであっても、
家の中には
猫の命を脅かす危険が
いくつも潜んでいます。

事故はいつも
「ほんの数秒の油断」
「いつもと違うちょっとした行動」
その積み重ねで
突然起こります。

でも逆に言えば、
“環境を整えた家”は
猫にとって
最も安全で穏やかな
生涯のすみかになります。

エリア分けは
「閉じ込める」ためではなく
「守るための仕組み」。

にゃんゲートのような
やさしいバリアは、
好奇心旺盛な猫の自由を守りつつ
危険な場所への出入りだけを
上手にコントロールできます。

今日のコラムを
ひとつでも実践すれば
事故の確率は
確実に下がります。

愛猫の命を守るのは、
飼い主さんの
“少しの工夫”と
“少しの準備”。

大切な家族と
これからも安心して暮らせる
安全なお部屋づくり。
今日から一歩ずつ
始めてみてくださいね。