
マイクロチップは、猫の身元確認のための小さなチップで、GPS機能はありません。登録情報の更新が必須で、災害時や引っ越し・海外渡航時にも役立ちます。読み取りには専用機器が必要ですが、装着は無麻酔でも可能です。迷子札やペットゲートとの併用で、脱走や迷子のリスクを最小限に。正しい知識で愛猫との安心な暮らしを守りましょう。
はじめに
あなたの愛猫は、
マイクロチップを
装着していますか?
最近では、ペットショップや
ブリーダーから譲渡される猫には、
マイクロチップの装着が
義務づけられています。
一方で、保護猫や地域猫など、
保護された猫たちや法改正前に迎えた猫たちは、
まだまだ装着率が
十分とはいえません。
「聞いたことはあるけど、
実際よくわからない」
「GPSみたいに
居場所がわかるんじゃないの?」
そんな声を
耳にすることもあります。
マイクロチップの知識が
曖昧なままでは、
せっかくの装着機会を
逃してしまうかもしれません。
それはとても
もったいないことです。
特に保護猫の場合、
新しい家族に迎えられた後の
「脱走」や「迷子」は
大きな問題になります。
せっかく保護して、
幸せな生活が始まったとしても、
迷子になってしまえば、
また命の危険に
さらされてしまいます。
この記事では、
マイクロチップの正しい知識と、
装着のメリット、
併用したい脱走対策まで、
獣医師の視点から
わかりやすく解説します。
また、実際に装着された方の
体験談や、保護団体が抱える
課題とその現場での工夫なども、
少しずつ紹介していきます。
読者の皆さんが
正しい知識と意識を持ち、
愛猫と一緒に
より安心できる生活を
送ることができますように。
ぜひ最後まで
ご覧ください。
1. GPS機能はついていない
マイクロチップについて
最も多い誤解のひとつが、
GPS機能があるという思い込みです。
実際には、マイクロチップには
位置情報を追跡する
GPS機能はついていません。
あくまで体内に装着された
個体識別番号を、
専用のリーダーで読み取り、
その番号に紐づいた情報を
確認するためのものです。
つまり、マイクロチップは
『身元証明』であって、
『現在地検索ツール』ではありません。
「迷子になっても
マイクロチップがあるから安心」
と思っていると、
発見が遅れるケースもあります。
首輪や迷子札との
併用がとても大切なんです。
また、GPSとの違いを
理解していないと、
「装着したのに
居場所がわからない」と
トラブルにつながることも。
期待値を正しく理解した上で、
マイクロチップを
活用していきましょう。
たとえば、脱走した猫が
公園で保護されたとしても、
通報者がGPSと勘違いして
飼い主へ直接連絡が来ると
思い込んでいると、
再会のタイミングを
逃してしまう可能性もあります。
2. 登録情報を更新する必要がある
マイクロチップを装着しただけでは、
万全ではありません。
重要なのは、その番号に
紐づいている飼い主情報が
"最新で正しい"ことです。
たとえば、引っ越しや、
飼い主の変更があった際に、
登録情報を更新しておかないと、
せっかく保護されても
飼い主の元に戻れない可能性があります。
情報の更新は、
マイクロチップの登録サイトから
インターネット上で
簡単に行うことができます。
特に保護猫を迎えた場合や、
再譲渡があったケースでは、
前の飼い主の情報のままに
なっていないか、
確認することが大切です。
また、登録番号を
複数のデータベースに
重複して登録することも可能です。
「うちの子が
どこかで保護された時、
一番早く見つけてもらうには?」
そんな視点で、
登録の重複や更新も
検討しておくと安心です。
登録がうまく行えていない例もあり、
せっかく装着されているのに
迷子として長期収容されてしまう
猫もいます。
家族の一員だからこそ、
登録情報の定期的な見直しを
習慣にしていきたいですね。
また登録時の暗証番号は大切に保管してください。
3. 海外旅行や引っ越しにも役立つ
猫と一緒に引っ越しをする場合、
あるいは海外への渡航を計画している場合、
マイクロチップは
とても重要な役割を果たします。
特に国際線を使って
海外に渡航する際は、
ペットのマイクロチップ装着が
義務づけられている国が多くあります。
EU諸国をはじめ、
アメリカやオーストラリアなども、
入国時にマイクロチップ情報の
提示を求められる場合があります。
そのため、
ワクチン接種とあわせて、
マイクロチップの装着が
「国際的な身分証明」として
求められているのです。
また、海外引っ越し後に
迷子になってしまった場合も、
マイクロチップがあれば
現地の動物病院や保護施設で
照会でき、飼い主に連絡が届く
可能性が高まります。
国内の引っ越しでも同様で、
新しい土地で迷子になってしまうと、
見慣れない環境にパニックになり、
遠くまで逃げてしまうケースもあります。
迷子札は住所が変わるたびに
作り直す必要がありますが、
マイクロチップなら
中身の情報を更新するだけで済むため、
引っ越し後も迅速な対応が可能です。
さらに、万が一の
災害時や避難先で
身元を確認する必要が生じた際にも、
マイクロチップが
大きな助けになることがあります。
特に複数の猫を
飼っているご家庭では、
外見が似ていても
個体識別が容易になり、
正しい飼い主に戻せる可能性が
高まります。
このように、
マイクロチップは
「脱走防止」だけでなく、
猫との生活すべてに
安心をもたらす
アイテムなのです。
4. 読み取り機が必要
マイクロチップの情報は、
見ただけでは
確認することができません。
専用のリーダーを
体にかざして読み取ることで、
埋め込まれた番号を
確認することができます。
このリーダーは
動物病院や保健所、
一部の動物愛護団体などに
設置されています。
たとえば、迷子になった猫が
誰かに保護されても、
リーダーのない場所では
チップ情報の確認ができません。
つまり、マイクロチップを
正しく活用するには、
読み取り機の存在も
とても重要なのです。
飼い主としてできることは、
「マイクロチップを
装着しています」と
迷子札や首輪に明記しておくこと。
また、かかりつけの動物病院に
マイクロチップの登録番号を
あらかじめ伝えておくことで、
保護時の対応に役立つかもしれません。
5. 装着は無麻酔でも可能
マイクロチップの大きさは
わずか1センチほどで、
専用の注射器を使って
肩甲骨の間に挿入します。
針が少し太いため
見た目には驚くかもしれませんが、
多くの猫は無麻酔でも
ほとんど痛みを
感じることはありません。
実際、ワクチン接種と
同じような感覚で、
あっという間に
終わるケースがほとんどです。
それでも心配な方は、
避妊・去勢手術の麻酔中に
あわせて装着してもらうと
安心です。
一度装着してしまえば、
取り出す必要はなく、
定期的な交換も不要です。
水にも強く、
身体への悪影響も
ほとんど報告されていません。
「かわいそうだから」と
後回しにせず、
猫の安全を守る一歩として
ぜひ前向きに
検討してみてください。
6. まとめ
マイクロチップは、
見た目には見えないけれど、
猫の安全と安心を守る
とても重要なツールです。
GPS機能はありませんが、
身元を証明し、
保護された際に
飼い主の元へ戻る
きっかけになります。
ただし、装着して
終わりではありません。
登録情報の更新や、
首輪・迷子札との併用、
地域との連携など、
日々の備えがあってこそ
真価を発揮します。
また、ペットゲートなどを使った
脱走防止対策とあわせて行えば、
迷子のリスクは
さらに大きく減らせます。
保護猫や地域猫など、
一度は過酷な環境にいた子たちにこそ、
再び迷子にならない
工夫と優しさが必要です。
マイクロチップは、
愛猫とあなたをつなぐ
「見えない絆」です。
大切な命を守るために、
今できる備えを
一緒に考えていきましょう。