猫が健康で元気に毎日を過ごし
てくれるのが飼い主の願い。
不調を見逃さないように、
おうちでできる健康チェックを
キャットケアスペシャリストが解説します!
猫は痛みや不調を隠してしまう
生き物です。猫は私たちに具合が
悪いと伝えることができません。
そのため、普段の生活の中でいつもと
違う様子に早く気づくことが大切に
なります。毎日の生活で簡単にできる
健康チェックを習慣化しましょう。
猫は「具合が悪いと外敵に狙われやすくなる」という
野生での本能を今も持っています。
そのため、体調が悪くても隠そうとするのです。
「元気そうに見えるから大丈夫」
と思ってしまうと、気づいた頃には
病気が進行している場合もあります。
しかし、毎日同じ空間で暮らしている
私たちだからこそ気づけるサインが
たくさんあります。
食欲、元気、毛並み、トイレ、仕草…
どれも小さな変化ですが、
それが命を守る大切なヒントです。
今日から「眺めるだけ」から
「観察する」へ。これだけでも
猫の健康寿命を伸ばすことができます。
猫の健康チェック項目
キーワードは「いつもとちがうこと」
です。いつもと違う様子がないかを
確認していきます。
健康チェックと聞くと、難しい、
時間がかかる…と感じてしまうかも
しれませんが、実際は触れ合いの中で
できる簡単な観察の積み重ねです。
抱っこしたときの体の温かさ、
撫でたときの毛の状態、
目を見たときの輝きや瞬きの仕方。
いつも通りであれば「元気のサイン」。
少し違うなら「早めの気づき」。
すぐに病院へ行く必要がない変化でも、
気になった場合はメモしておくことで、
後から役立つこともあります。
「健康チェック」は
猫との信頼を深める時間にもなります。
毎日の習慣として、楽しみながら
観察してみましょう。
■行動
足を引きずる様子や歩き方に
違和感はないか?
うるさいぐらいに鳴いていたり、
または声がかすれて鳴きづらそうにしていないか?
歩き方がおかしいときは骨折や脱臼など
が考えられます。鳴き続けるときは
発情期がきているか、去勢・避妊の
手術をしている猫ならストレスを
感じているかもしれません。
声がかすれているときは鳴きすぎて
声帯が炎症をおこしている。または
猫風邪にかかっている可能性もあります。
普段の歩くスピードや、
ジャンプの高さにも注目してみましょう。
高い所へ飛び乗らなくなったり
降りるときにためらう仕草は、
足腰の痛みや関節の衰えのサイン
かもしれません。
また、急に甘えん坊になったり
逆に隠れる時間が増える場合も、
体調不良やストレスが背景にあることがあります。
「性格が変わった?」と感じたときは、
動物病院に相談するきっかけに
してみてください。

■ごはん
食欲はあるか?
食べる量に変化がないか?
ごはんをあまり食べないけど元気な
場合は、ごはんに飽きているかも
しれません。元気もない場合は何らかの
病気かストレスを感じて食欲が
落ちていると考えられます。
食事のスピードも観察ポイントです。
いつもすぐに食べるのに、だらだら食べる、
食べるまで時間がかかる場合は、
口腔トラブルや胃腸の不調の可能性があります。
逆に急に食べる量が増えたときも要注意。
甲状腺機能亢進症など、
シニア猫に多い病気のサインの場合があります。
食欲は健康のものさし。
「食べない」「食べすぎる」どちらも
見逃さないようにしましょう。
■毛並みや皮膚
傷やしこりはないか?
毛並みにツヤがなく、
ゴワゴワしていないか?
ハゲているところはないか?
ごはんが体質に合わなかったり、
ストレスを長い期間感じていると
毛並みが悪くなり、触り心地もゴワゴワ
することがあります。
一部分がハゲてしまうのも、アレルギー
かストレスが原因でハゲてしまうことがあります。
毛づくろいの回数にも注目しましょう。
頻繁に舐めている場合、ストレス、
皮膚炎、寄生虫などの可能性があります。
逆に毛づくろいをあまりしないのは、
痛みや疲労、関節の問題が考えられます。
皮膚は健康状態が最も表れやすい部位です。
ブラッシングしながら優しく観察する時間を
つくると、異変に気づきやすくなります。
■飲み水
水をしっかり飲んでいるか?
水ばかりガブガブ飲んでいないか?
水を飲む量が少なければ、泌尿器系の
病気にかかりやすく、反対に多すぎても
糖尿病などの病気にかかっている可能性があります。
■目
目ヤニが多くないか?
目ヤニが黄色っぽくネバついていないか?
目ヤニが多くてもすぐ乾いてポロっと
取れるようであれば、さほど
心配はありません。
涙目でネバりがある目ヤニが
続くようであれば、結膜炎や
猫風邪が考えられます。
■耳
耳の中が汚れていないか?
耳を痒がる様子はないか?
耳の中が汚れているだけであれば、
綿棒などで優しく拭き取ってあげま
しょう。痒みを伴うと、アレルギー
や耳ダニが原因の場合があります。
■鼻
鼻水は出ていないか?
鼻が常に乾燥していないか?
猫風邪や花粉症などで鼻水がでる
ことがあります。鼻が一時的に乾いて
いても問題はありません。しかし、
鼻の乾きが続くようなら水分が不足
していて、ひどい場合は脱水症状や
熱中症になっていることも考えられます。

■口
口臭がキツくないか?
口の中が腫れていないか?
歯茎に炎症はないか?
口臭がいつもよりキツい、ひどいニオイ
がする場合は病気の可能性があります。
歯周病や歯肉炎で歯茎が腫れるとごはん
を食べるときに痛みを伴い、
食欲がなくなることもあります。
■トイレ
回数の極端な増減はないか?
下痢はしていないか?
排泄物の色に異常はないか?
トイレに行く回数や、量、ニオイなど
の変化に早く気づけるように、通常の
状態を知っておくことが大切です。
いつもと違うと感じたら、病気や
ストレスなどのトラブルを抱えているかもしれません。
■呼吸
呼吸の回数が多くないか?
呼吸のときに異音がしないか?
個体差はありますが、安静時の
呼吸回数は15〜25回といわれています。
横になっているときでも呼吸が
早かったり、ヒューヒューや
ゼーゼーといった音がする場合は
病気の可能性もあります。
どうやってチェックする?
リスト見ながらひとつずつしっかり
確認するぞ!と意気込まなくても
大丈夫です。毎日の生活の流れの中で
確認できるようになります。
スキンシップをとりながら、触ったり
撫でたりして体のしこりや毛の状態を
確認します。顔を近づけて猫の顔まわりや
口の中、口臭も確認できます。
遊んでいるときも体の動きや疲れやすさ
などの変化を観察します。
トイレの掃除のときや、ごはんをあげる
ときもなんとなくお世話をする
のではなく、いつもと変わりはないかを
意識してみるようにしましょう。
チェックを負担に感じず、
“猫と触れ合う楽しい時間”に
することが継続のポイントです。
特別な時間を作る必要はありません。
抱っこ、遊び、ブラッシング、
おやつタイム、寝る前のナデナデ。
その中で自然と観察できると
猫もリラックスしたままです。
お互いにとって良いスキンシップになります。
日々のお世話も大切に
歯磨き
苦手な猫も多い歯磨き。私たちと暮らす
猫たちは、外で狩りをして暮らしている
猫に比べて、歯垢がつきやすい食事を
しています。
歯磨きをしないでいると、歯周病になって
痛みでごはんをたべれなくなることも。
健康な毎日はお口のケアから。
爪切り
こちらも私たちが苦労するお世話の
ひとつです。外で暮らしていれば自然に
爪が削れていきますが、お家で暮らす
猫たちの爪は伸び放題です。
放置していると、爪が肉球に刺さって
しまったり、爪がカーテンやソファなどの
布製品にひっかかりやすく取れにくいので
事故に繋がってしまうこともあります。
根気よく、定期的に爪切りをしましょう。
歯磨きや爪切りは大変ですが、
無理に一度で完璧を目指さなくてもOK。
今日は口元を触る、
明日は歯ブラシを近づける…
小さなステップで慣らしていくことが
成功のコツです。
爪切りも同様に、
1日1本だけ切るのも立派なお手入れです。
“できる範囲で少しずつ”を
積み重ねていきましょう。

まとめ
猫の健康を管理するのも私たち飼い主の
大切な役割です。猫の不調に気づかず
後悔しないように、毎日の暮らしの中で
できる健康チェックを始めましょう。
猫の変化にいち早く気づけるのは、
毎日そばで暮らしている家族である
私たちだけです。
大きな異変だけでなく、
ほんの些細な変化でも気づけたとき、
それは猫との絆が深まっている証拠です。
毎日の習慣が、猫の命と長生きにつながります。
無理なく、優しく、楽しみながら
健康チェックを続けていきましょう。


