猫のからだにハゲができてしまう
原因やさまざまな皮膚トラブルの
対処法をキャットケアスペシャリストが解説します!
猫を撫でていたら、脇の下やお腹にハゲ
を見つけた。猫の脱毛やハゲの原因は
さまざまですが、皮膚がトラブルを
起こしている場合が多いです。
ハゲをみつけても焦らず対応できる
ように、脱毛の原因や皮膚トラブルを
知っておきましょう。
小さなハゲでも、実は全身の不調や
ストレスのサインであることもあります。
普段のスキンシップの中で、撫でたときの
毛並みや皮膚の状態に気づくことが
早期発見の第一歩です。特に脇の下、
内もも、首の下などは毛が密集して
蒸れやすく、トラブルが起きやすい
場所です。いつもと違う手触りを
感じたら、早めに確認してあげましょう。
猫の脱毛の原因は?
ハゲができてしまうぐらいの脱毛の
原因とは?
1、皮膚病
ノミ・ダニや寄生虫、菌に感染すること
で皮膚がアレルギー反応を起こします。
皮膚が赤く腫れたりかゆみを伴って
脱毛することがあります。
また、皮脂バランスの乱れから雑菌が
繁殖し、脂漏性皮膚炎を起こすことも
あります。ホルモン異常(甲状腺や副腎)
が背景にあるケースもあり、検査で
原因を特定することが重要です。
2、ストレス
ストレスが原因でからだの特定の場所
を舐め続けてしまうと、過度な
グルーミングで脱毛してしまいます。
舐めグセが続くと、皮膚が薄くなり、
炎症を起こすことも。精神的な原因の
場合、フェロモン製剤や遊びの時間の
見直しで改善することもあります。
3、食生活
特定の食材や体質に合わないものなど、
食物性のアレルギーが原因の場合も
あります。じんましんのような赤い
ブツブツとした発疹が特徴です。
栄養バランスの乱れも脱毛の一因です。
特に脂肪酸やビタミンB群の不足は
皮膚の再生を遅らせるため、フード選び
にも注意が必要です。
猫の脱毛や皮膚トラブルが多い季節は?

とくに梅雨の時期は注意が必要です。
カビや細菌、ノミ・ダニなどの活動が
活発になります。猫の毛も蒸れやすく
皮膚がトラブルを起こしやすくなる季節です。
湿度が高い時期だけでなく、夏の冷房で
冷えすぎたり、冬の暖房による乾燥でも
皮膚は負担を受けます。乾燥によって
かゆみが増し、毛づくろいの回数が
増えることもあります。季節の変わり目は
とくに体調変化が起こりやすいので、
皮膚や毛並みの様子を定期的にチェック
しておくと安心です。
猫の皮膚トラブルの症状
猫の脱毛の原因で多くみられる皮膚病
とはどのような症状が出るのでしょうか?
ノミアレルギー性皮膚炎
ポツポツと赤い発疹がみられ、かゆみ
を伴います。梅雨の時期にノミの活動が
活発になるので、発症しやすくなります。
体を掻く、床に体をこすりつけるなどの
行動が見られたら、要注意です。皮膚検査
(掻爬検査・寄生虫の確認)で早期診断
することができます。
疥癬(かいせん)、耳ダニ
耳に発疹や痂皮が出たり、
黒い耳垢が大量に出るなどの症状があり、
強いかゆみを伴います。
放置すると慢性化し、皮膚が分厚くなる
こともあります。早期の治療が肝心です。
感染力も強いので多頭飼いの場合は
感染が広がってしまうことも
急性湿性皮膚炎(ホットスポット)
脱毛やかゆみで皮膚が赤く炎症を起こし
化膿することも。湿度が上がり毛が
蒸れることで発症します。皮膚が弱い子
など体質が影響する皮膚病です。
発症部位を掻き壊さないよう、
カラーで
保護するなどの対処も必要です。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う皮膚の炎症、脱毛やフケが
みられることもあります。
ハウスダスト、
カビ・花粉などのアレルゲンに対して
過剰な反応が出ることで発症します。
治療には根気が必要で、症状を抑えながら
長期的に付き合うケースもあります。
猫の皮膚トラブルを防ぐためには?
症状が出るまえに、私たちができる予防をしておきましょう。
ブラッシング
猫は春と秋に毛が生えかわる換毛期が
あります。
毛に絡まったほこりなども
ブラッシングで一緒に取り除いて、
皮膚を清潔に保ちます。
短毛種でも定期的なケアが必要です。
スリッカーブラシやラバーブラシなど、
猫の毛質に合ったものを使い分けると
より効果的です。
こまめな掃除
普段の掃除はもちろん、猫のベッドや
お気に入りのお昼寝スポットもこまめに
掃除しましょう。特にベッドはダニの
温床になるので、掃除機でよく吸って
毛もこまめに取り除きましょう。
掃除のときは、アレルゲンを舞い上げ
ないよう、湿らせた布での拭き掃除も
おすすめです。
ごはん
ごはんを変えるときは、今食べているもの
へ徐々に加えていくようにしましょう。
いきなり新しいものを出したり、複数の
種類をコロコロ変えたりすると
アレルギー症状が出ることがあります。
体質によっては
動物病院でアレルギー検査
を行うのも有効です。
原因食材を避ける
ことで症状が出ることを防げます。
生活環境
ストレスの原因とならないように、
休むスペース、運動、トイレなどの環境は
常に快適になるようにしましょう。
遊びの時間や撫で方もその子の性格に
合わせて。環境が安定すると、皮膚の
健康にも良い影響があります。
湿度管理
猫の祖先は砂漠で暮らしていた
ことから、湿度に弱いといわれています。
湿度が高いと皮膚病だけでなく、猫の体調
にも影響します。除湿器を使用するなど、
なるべく快適に過ごせるように環境を整えましょう。
湿度計を設置し、50〜60%を目安に保つ
のがおすすめです。
シャンプー
嫌がる猫が多いと思いますが、
シャンプーすることも効果的です。
ただし、シャンプーした後はよく
乾かさないと逆効果になることも
あるので注意しましょう。
洗う頻度は月1〜2回を目安に。
薬用を
使うときは獣医師の指導を受けましょう。
予防薬
ノミ・ダニなどのアレルギー症状には
薬で予防することもできます。
首に垂らすスポット剤などを使うことで
アレルゲンとなるノミダニの寄生を防げます。

まとめ
ふとしたときに猫のハゲをみつけると、
どうしたんだろう?何がおこったのだろう?
と慌ててしまいます。脱毛や皮膚トラブル
が起こっても、慌てないように知識を
つけておくことは大切です。
脱毛の原因には必ず理由があります。
生活習慣・ストレス・アレルギーなど、
猫のからだが小さなサインを出している
ことに気づくことが、早期発見につながります。
小さな異変を見逃さず、日常のケアを
積み重ねることが、健康で長生きする
ための最善の方法です。猫の毛並みは
健康のバロメーター。飼い主がその変化を
感じ取ってあげることが、最大の愛情です。
皮膚の健康を保つことは、単に見た目を
整えるだけではありません。免疫力の維持や
体温調整など、猫の生命活動そのものを
支える大切な役割があります。皮膚を守る
ことは、からだ全体を守ることにつながります。
また、飼い主の「気づく力」も磨かれていきます。
毎日のスキンシップで、いつもより少し長く
撫でてみたり、毛の流れを感じたり。そんな
時間を積み重ねることで、猫との信頼関係も
より深まります。触れられる安心感が、
ストレスの軽減にもつながります。
そして、忘れてはいけないのが「定期健診」。
見た目のトラブルがなくても、年に一度は
健康診断を受けて、皮膚や毛の状態を
専門的にチェックしてもらいましょう。
血液検査でホルモンの異常や栄養バランスを
確認することで、目に見えない原因を
早めに見つけられることもあります。
もし脱毛を見つけたときは、焦らず、
「どこに・どんな形で・いつから」などを
メモしておき、動物病院で伝えるようにします。
この情報が診断の手がかりになり、
治療の方向性を早く決める助けになります。
皮膚トラブルの多くは、飼い主の生活環境や
お世話の工夫で改善できることがほとんどです。
だからこそ、悲観せず、少しずつできることを
続けていきましょう。
ブラッシングや掃除、湿度の調整、
ごはんの見直しなど、ひとつひとつの習慣が
猫の健やかな毎日を支えます。
それは「治療」ではなく「信頼の時間」。
飼い主にしかできない、最も温かいケアです。
猫は自分の不調を言葉で伝えられません。
だからこそ、私たちがその代わりに気づき、
守ってあげる存在でありたいですね。
今日からできる小さなケアが、
未来の大きな安心につながります。



